姫と命名するまで色々と候補があった。
友人は「黒猫じゃなく茶色やで!」と捨て台詞を言って消えたが
根元は確かに茶色だが、きっと100人中98人全員が
「黒猫!」と言うはず・・・・
恐らくこの子を茶色の猫と言うのは
友人と、友人に伝えたお婆さんだけだと思う。
歴代「クロ」の名前を継承させようかとも思ったが
あえてそれは止め、散々迷った末に
ポン!と浮かんだ【姫】という名にした。
姫は神経過敏になっていて、「姫」と呼んでも当然無視。
家中をキョロキョロ歩いては、私から逃げているようにも感じた。
姫が家に来て1週間後に、体調に異変が起きた。
姫を見ると目は開いているのに何か膜のようなものが覆っていた。
姫は何かの異変で目が見えなくなっていた。
慌てて動物病院に走って行き診察をしてもらうと
猫には第三の瞼があり、普段は見ることは出来ないもの。
それが姫は精神的なものにより、その瞼が閉じようとしていると言われた。
「治りますか?」
先生は難しい顔をして言葉に困っていた。
精神的な物なので治療法もない。
この子の気持ちによるので、一生見えない可能性も高い。
ショックを受けたまま家に到着した途端に
私は大泣きをした。
小さい姫の顔を何度も何度も撫でながら
ただただ姫が不憫で可哀想でたまらなかった。
何度も何度も姫に謝り泣き続けた。
姫は1週間前、家に来た時からずっと何かに怯え
私にも慣れず、ずっと家中を不安な気持ちのまま過ごしていた。
私の家にさえ来なければ、姫はこんな事にならなかった・・・・
かわいそうな姫・・・
その日はずっと泣き続け知らぬ間に眠ってしまった。
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