母の不思議

姫の体調が悪くなり

病院へ行く道中で思い出したように母に電話をした

「姫、そろそろ危ないかもしれない・・・伝えとこうと思って・・・」

母は最初は驚いた声を出したものの

「やっぱりかぁ・・・」

と言った。

「昨日何処むいてんの？って言ってたんや・・・」

？？？？？

母にはよくある会話。

「ご飯も食べなかったけど、最近は少しは食べるようになったから

ご飯を食べてくれるようになったら元気になると思うわ。」

「いや・・・・・（溜息）」

母の言葉を無視して

「年内もってくれたらいいなぁ・・・」

「いや、もたへんわ」

アッサリ言われてしまった。

数回、いや姫は元気になるよ！と言い続けて会話を終えた。

翌日も病院に行かなければならず

病院へ向っている私に母が電話をしてきた。

「姫、大丈夫やで。まだ生きてるよ」

と。

当たりまえやん！！！

ちょっとムキになって会話を終えた。


その翌日に姫は亡くなった。


今思えば、姫の容態はいつ亡くなってもおかしくなかった。

私が事故で怪我をしたため、病院など行く事が多く

実際、母が電話をしてきた日は

MRIなどの検査結果や他の科への診察などで、病院に8時間も拘束されてしまった。

あの日、姫が死んでいてもおかしくなかった。


母は昔から不思議な能力を持っていた。

昔、身体に異変を感じて直ぐに母に電話をしたら

「あんた！何つけてんの！！！」

と言葉を発する前に叱られた。

その後すぐに母の言う通りにしたら治まった。


私が何か困ったことが起きると、必ず電話があった。

「何もないか？」と。

相談や泣き言を言うのが苦手な私は強がって否定するが

内心では毎回驚かされた。


姫の葬儀を終えて帰宅した夜

骨壷を眺めながら


「姫、今何処におるんやろ？」・・・


とポツリというと

母はキッパリと言った。

「ここにおるよ」


姫、今もお姉ちゃんの傍に居てくれてるの・・・